第8章 決起
しばらくそのまま抱きしめ合っていた。
言葉を特に交わすこともなく、ただお互いの鼓動の音を聞く、それだけでいっぱいいっぱいだった。
「送ってくれてありがとう。」
「いえ。」
イタチくんの優しい目がこちらを見下ろしている。
別れはいつも名残惜しいが、今日は特にそんな気がする。
「夕食、ご一緒できなくてすみません。」
「いいの。朝イチで任務なんでしょ?早く帰って寝なさい。サスケくんにもよろしくね。」
「ええ。」
イタチくんは「では」と軽く手を振ると、次の瞬間にはいなくなっていた。
「…私も今日は早く寝よ」
イタチくんが消えた方向を一瞥してドアを閉めた。