第8章 決起
頭を撫でているとイタチくんの手がそっと背中に回され私を包み込むように抱きしめた。
イタチくんに抱きしめられるのは心地が良い。
口では何も言われないが、それはとても優しく、力強く、その全てで愛してると言われているようだった。
だが、今日はなぜかあの晩の魂が抜けた様なイタチくんが連想させられる。
「ねぇ、イタチく…」
心配になり顔を上げると、次の瞬間、口を塞がれた。
「んっ…」
角度を変え、貪る様に何度も唇を重ねられる。
「……っ…イタ…チ…くん……っ!」
付き合い始めてから何度かキスはしたが、軽いものが常だったため、慣れないディープキスに思わず腕に力を入れて押し返した。
「……すみません…。」
「…大丈夫だけど……」
イタチくんは気まずそうに顔をそらしてしまった。
どう考えてもおかしい。
突き放したけど少し後悔する。
今度は自分からイタチくんの首元へ手を伸ばし、そのまま彼の頭を抱えるように抱きしめた。
「……すみませんでした。」
「ううん。びっくりしちゃっただけだから。」
ポンポンと頭を撫でるとまた背中に手を回してきた。