第6章 君の隣
サスケと良く修行をしたところに行くと、予想通り手裏剣を投げる小さな姿が見えた。
「サスケ。」
声をかけると振り返り顔を明るくする。
自分の姿を見たとたんに笑顔を向けてくれる弟を心から愛おしいと思った。
「サスケくんこんにちは」
駆け寄ってきたサスケは自分の後ろからひょっこりと顔を出すさゆさんを見ると少し怪訝そうな顔を浮かべ、ピタッと止まる。
「サスケ、こちらは俺の先輩の高澤さゆさん。」
「よろしくね。さっきまでお兄さんに修行付き合ってもらってたの。独り占めしちゃってごめんね。」
「…別に……」
サスケは少し拗ねたように顔を逸らしてしまった。
「すみません…」
さゆさんに苦笑いしながら謝ると
「愛されてるね、お兄ちゃん」と笑ってくれた。
あまり見ない笑顔に思わずときめく。
彼女はサスケに近づくと軽く屈んで話しかける。
「サスケくん手裏剣の修行してたんでしょ?私、結構得意なんだよ?」
「ふん…あんたの実力は知らないけど兄さんの方が上手いよ!」
「なんだと〜?」
そのまま口論をしながらいつの間にか自分をほったらかして2人で手裏剣を木に投げていた。
近くの倒れている木に腰を下ろす。
サスケは最後に見たときよりも上達していてた。自分がいないときも頑張っていたんだろうと感心する。
手を抜かず本気で手裏剣術を披露するさゆに怒ったサスケが横から手裏剣を弾いたことで、今は相手が投げている手裏剣を弾いて邪魔をし合っている。
なんだかんだ楽しそうにしている2人を見ると思わず笑みがこぼれた。
風がさあっと吹き髪を揺らす。
天気も良い。
こんなに穏やかな気持ちはいつぶりだろうか。
この時間がいつまでも続けばいいと思った。
「イタチくん!」
声をかけられ顔を向けると、イタズラっぽく笑いながら2人で顔を見合わせている。
「缶けりしよう。イタチくんが鬼でさ、もちろん武器はなしね。」
なるほど。
身を隠しながら目標に近づき倒す。
サスケの修行にはうってつけだ。
「手加減はしないぞ。」
そう言って木から腰を上げた。