第5章 血の丘の月
「今日の任務は火影様から聞いている通り敵も警戒している。全員気を引き締めるように。先頭はオレ、その次がイタチ、さゆ、カツミの順に立て列になって進むものとする。ターゲットを認識しだい俺が次の行動の合図を送る。いいな?」
阿吽の門に近い屋根の上、今回の小隊のリーダーであるミカゲが淡々を話し終わると残りの3人で「はい」と返事をする。
現在夜の10時20分。
情報によると11時頃に機密文書の受け渡しがされるらしい。
「さゆ」
不意にミカゲに名前を呼ばれる。
「はい。」
「先日は意地の悪い言い方をして悪かった。だが俺は自分の発言を撤回するつもりはない。俺達は暗部の中でも経験も実力のある方だ。死ぬ気はない。仮に死んだとしてもそれは俺達の力不足であってお前のせいではない。わかったな?」
「……はい。」
ミカゲはよく毒のある言い方するがただひたすらに真面目で頭の堅いだけの男だ。根が優しい事はこの2年で知っていたが今日は特にその優しさが身にしみた。
自分に気を使ってくれているのだろう。
あぁでもごめんなさい。
やはり悪いイメージしか描けない。