第5章 血の丘の月
「反対です!!!!はじめの約束と違います!!」
「じゃがのぉ…」
今回の任務は雲隠れの忍の機密文書を略奪するというもの。中には木の葉を含めた複数の里の情報が書かれているという。
暗部の中でも実力者の先輩2人と私と新しく入隊した子を合わせた4人での任務を告げられた。
「絶対に嫌です!!!実力者の2人もいることだし私は必要ないでしょう?!」
「今回、敵もかなり警戒している。一筋縄でいくとは思えない。そこで医療忍術の実力もあるお前に入ってもらいたいのだ。」
「嫌です!!!」
「さゆ。火影様からのお達しだ。忍が駄々をこねるんじゃない。」
先輩のうちの1人、ミカゲが淡々と諭してくる。
「わがままで言っているんじゃありません!先輩たちも私の話しは聞いたことがあるでしょう?!私と同じ班になったら…」
「殉職するって?お前は俺たちが簡単に殺されるほど弱いと言っているのか?」
「実力の問題じゃないんです!!!」
「さゆ、大丈夫、俺たちだって一応暗部では実力のある方なんだぜ?死なないよ。それにその為にお前がいるんじゃないか。」
もう1人の先輩のカツミが優しく微笑みかけてくる。
「さゆ、お前も充分実力をつけた。昔とは違う。」
「でも…火影様…」
「もう1人の新入隊員も、うちはの中でも天才と言われているうちはイタチだ。お前の心配もあると思い、バランス、実力を考慮して選んだつもりだ。頼む。」
「…………わかりました。」
もはや何を言っても無駄だろう。
カカシさんが他の長期任務が被って班が同じにならなかっただけマシだ。
カカシさんはこの任務を聞いたら怒るかな?それともよかったと言うのだろうか。
何にせよ、二度あることは三度ある。
この時点で私は同じ小隊になった彼らの生存を諦めていた。いくら医療忍術が使えても私は足手まといどころかきっと彼らの死神にしかなれない。
ごめんなさい。
心の中で謝ることしかできなかった。