第3章 無駄な力
さゆは意識が戻ってからも放心状態だった。何が起こったかを知るべく、脳から直接記憶を読み取ろうとした忍も意識を同調してしまい寝込んでしてしまった。結局、医療班が総出で治療し、なんとか2人とも会話ができるように戻ったのは事が起きてから3日後の昼すぎだった。
「さゆ、大丈夫か?」
「はい…ごめんなさい…あの…私どのくらい…」
「3日だ。」
「そう…ですか…」
部屋の中にはさゆとオレと火影様と主治医とさゆと同調してしまった忍のハヅキがいる。
「あの日のこと…ですよね…」
「話せるか…?」
「火影様!」
「カカシさん、大丈夫です。」
「でも…」
「俺が話すよ。」
オレの言葉を遮ったのはさゆでも火影様でもなくハヅキだった。さゆに「いいね?」言うようにアイコンタクトをしている。
さゆとの記憶を、それもさゆの視点からの記憶を共有しているからというのは分かるが、まるでオレよりもさゆを知っている様なそれがなんだか癇に障った。
「いえ、大丈夫です。私からちゃんとお話します。」
さゆが首を横に振り語り出した。
「あの日、私たちの班は任務のため、例の廃屋へ行きました。ただ、敵も結界を張っていて感知できず、仕方なく中まで調査をする事になって…それではじめに、先生入り、私たちは合図を待つ事にしたんですけど…」
ここから先の彼女の話を要約するとこうだ。
建物から出てきた上官は敵が変化をしていたもので、さゆはすぐに気づいて声をかけたものの、1人が幻術にかかってしまいそのまま殺されてしまった。
さゆはオレと幻術の修行をしていたこともあり、残りの2人でなんとかその1人は倒し、捕虜となった上官を助けに行こうとしたという。
本来ならここで里へ応援を呼ぶために逃げるのが1番だったのだが2人とも救助することをとったらしい。
中へ入るとそこでは上官が1人の忍に情報を取られようとしているところだった。
2人がかりで攻撃を仕掛けるが相手にならない。
仲間が倒れ、自分も怪我を負う中、さゆが使った力は人を救う為に修行した医療忍術のものだった。