第3章 無駄な力
「必死でした。チャクラのメスは分かりますよね?」
彼女は人差し指を立てると、その指先にチャクラをためてメスの様な形を作った。
「私はこれの形を変えて手の平に刃物の様にして練ったんです。それでこの手のひらの刃で相手の腕を掴み、動脈を切って、そこに流れる血と逆向きにチャクラを一気に流し込みました。逆流にあい、行き場をなくした血液は血管を破り内出血を起こす。そしてやがてそのチャクラは心臓にも達し…あとはご想像通りです。」
身体中の血管が逆流に合い、体内で破裂していく。
想像するだけでゾッとした。
「敵は倒れる寸前、起爆札のついたクナイで先生を刺しました。それで…」
「もういい、辛いことを思い出させてしまって悪かったな。ありがとう、2人ともゆっくり休んでくれ。」
「はい…」
「カカシ。」
「……はい。さゆ、何かあったらすぐ呼んでくれ。」
「はい、ありがとうございます。」
ドアを閉め、廊下に出るとあの時のさゆの言葉が蘇った。
仲間を救う為だけに修行してきた。
なのに仲間を救えず、救う為に必死で勉強して手に入れた力で人を殺めた。
「また、さゆ以外が全員…か。まだ幼い子がこんな立て続けに身近な者を亡くすとは……」
火影様が苦しげに呟いた。
さゆは忍を続けられるだろうか。
もしかしたらここで辞めた方があいつにとって良いのかもしれない。
俺には結局何もできないのかな…
自分の無力さを感じで胸が痛んだ。