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君を追う

第2章 ことのはじまり




「あっ」

1ヶ月後くらいだった。森の中、1人チャクラを練るあの子を見つけた。気配に気づいたのかこちらに振り返る。

「あ、この間の…」
「…俺がわかるのか…?」

今は任務外なので外しているががあの時は暗部の面をしていたはず。

「今ちょうどチャクラ感知の練習をしてて、あと、声で。」
「そう…か。もう体は大丈夫なのか?」
「はい。その節は本当にありがとうございました。」

彼女は立ち上がるとぺこりとお辞儀をして、「高澤さゆです」と名乗った。
やけにしっかりしている。
それに感知の練習をしていたにしてもこの歳でチャクラを練っていない相手を見つけるのは容易ではないはず。
そういえば火影様が通常より2年早くアカデミーを卒業したと言っていた気がする。

「俺ははたけカカシ…一応暗部は機密扱いだから他言無用で。」
「はい。……あ、はたけさん、今お時間ありますか…?」
「カカシで良いよ。何?」
「じゃあ、カカシさん。少し修行に付き合って欲しいんです。」

俺の名前を聞いて噂を聞いたことがあると言う。
先日の一件で自分の至らなさを痛感してのことらしい。昔の自分を思い出した。

「わかった。特別ね。」
「ありがとうございます!」



手裏剣投げや組手を数回。彼女の癖を指摘する。他にもトラップのノウハウなどを教えているうち、あっという間に日が暮れていた。


「もうこんな時間か…」
「あ……貴重なお休みだろうにこんなに付き合わせちゃってごめんなさい……」
「良いって。むしろ時間忘れて俺につき合わせちゃったとこもあるし。」

立てる?と息を切らして座っている彼女に手を伸ばす。
応えるように手を伸ばしかけて「あっ手汗やばい」と服で手を拭く彼女の様子に自然と笑みがこぼれた。

「気にしなくていいから。ほらっ」
無理矢理手をとって立たせる。
ダンスでも始めるかのように向かい合った形になった。

小さいな…。

まだ9歳・10歳くらいだろう。
なかば上の空で見つめていると、彼女が少し顔を赤くして俯く。見すぎたか。そういえば手もとったままだった。ああ、この手も小さいな。

「あの…この間も今日も本当にありがとうございました。」
「どういたしまして。」
「それで…あの…もし良かったらまた…」
「うん。」

うん。
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