第13章 探すときほど見つからない。
頭が痛い。
「…ん」
「…ス…さん……」
「エビスさん。」
靄のかかった頭の中で、水中にいるのかと錯覚するその声は次第にハッキリと聞こえて。
水面に顔を出したところで意識が戻った。
「あ、気がつきました?」
真っ先に目に映ったのは太陽でも青空でもなくて、それが女性の顔であることに気づくのに暫くかかってしまった。
「…っ!さゆさん?!」
ガバリと身体を起こせば「お久しぶりです」と微笑む。そんな彼女は、3年前にうちはイタチを探しに出たはずの上忍のアイドル的存在だったその人で。
えっちょっと待ってください…
今、もしかして私は彼女に膝まく……
いや、今大切なのはそっちじゃないはず
「い…いつ戻られたんですか…?!」
「ホント今さっきです。門のところで自来也先生と会って、そのままふらふら歩いてきたんで上忍で会うのはエビスさんが第一号ですね。お久しぶりです。」
にこりと笑う彼女は、相変わらず可愛らしく、3年の月日の所為だろう、少し大人びていて……
……というか私が第一号って…
それはとても喜ばしいことだけれども、彼女のモンスターペアレント。カカシさんに何か言われそうだと本能的に感じ、悪寒が走った。
「今自来也先生呼んできますんで、ちょっと待っててくださいね。」
言いながら既に立ち上がり、こちらへ手を振るその人に、浮きたつ心はどうしようもなくて。
理性理性…
彼女と交代してこちらへやってくる自来也様に、キュッと顔を引き締め頭を下げた。