第12章 小休憩
ぎゅっと背に回されたその腕は優しかった。
トクントクンとカカシさんの心臓の音が聞こえる。
「オレがお前から離れたら今よりもっとタチの悪いのが寄ってくるよ。そんな奴らにお前を触らせたくない。」
「カカシさん…?」
「イタチのいない今、お前のことちゃんと見てるやつは正直少ない。オレの手の届く距離にいて欲しい。」
頼むから。
そう弱々しく呟くその人がさっきまでのカカシさんと同一人物なのか?と一瞬戸惑った。
ああ、でも、このカカシさんには記憶がある。
ずっと昔、会ったばかりのカカシさん。
私の新しい班活動を心配していたカカシさん。
暗部に入ると言った時のカカシさん。
いつだってそうだ。
カカシさんは私をガラス製品のように扱う。
「…愛が重い。」
「え?」
思わずはぁ〜とため息をついた。
「愛が重いです。しんどいです。私はもう子供じゃありません。」
「子供だよ。」
「うるさい!!とりあえず!もう私はカカシさんに守られてたか弱い女の子じゃないんです!子離れしてくだい!」
「子離れって…おれはそういんじゃ…」
「そういうんです!!!」
両手でカカシさんの頬をぎゅっと挟む。
「カカシさんが大切な人を何人も失ったのは知ってます。だからこそ私のことを余計に大切に思ってくれているのもわかってます!でも!私は貴方と依存し合うんじゃくて、背中を預け合う仲になりたい!」
気合を入れてそう言えば、カカシさんの目がかすかに見開かれた。
「カカシさんは私の大切な人です。でも違う。こういうんじゃない…もっとこう…なんていうか…大切だからって大事にしすぎないでほしいっていうか」
あーなんだよもう訳がわからない。カカシさんもきょとんとしてる。でも、これだけはいい加減ハッキリさせておきたい。
私たちは長い間お互いに依存しすぎた。
そして長い間離れすぎた。
物理的に、精神的に。
「あなたの重りでありたくないです。」
まっすぐと目を見てそう言えば、カカシさんはまたその目を見開いた。