第12章 小休憩
「と言われますと……?」
「いや、異性として、さ。」
「とりあえず顔が近いです。」
近いです。割とマジで。
「ドキドキする?」
「わりと。」
「ふーーん?」
信じてなさそうな声色のカカシさんは余計に顔を近づけてきた。いや本当に。
「いくらカカシさんといえどこの距離だとちょっと。」
「へーぇ?」
手で壁を作り顔を逸らすが下がれば下がるほど構わず詰め寄ってくる。
「ちょ…っと!しつこい!」
さすがに壁まで追い詰められたことでやばいと思い肩を押し返そうとしたがその体は動かない。
どころか両腕で囲われてしまった。
突然のことといつもの軽い雰囲気ではないカカシさんに、耳に自分の心臓が強く脈打つ音が広がる。
でも正直、同時に「わー噂の壁ドンだ」っと少しシラけてしまう自分がいた。
「…こうやっていっつも女の人口説いてんですか?」
「こうやってって…?」
「…こうすれば女子はみんなときめくとか思ってます?正直ちょっとドキドキしましたけど少し冷めました。退いてください。」
カカシさんの腕をくぐり立ち去ろうとするが勿論そんなわけにも行かなくて。潜ろうとした腕をそのまま下げたカカシさんにあっさりと捕まる。
「何怒ってんの?」
「そっちこそ急に何なんですか?欲求不満なんですか?彼女とか作ったらどうです?」
「……お前はいいの?」
「構いません。むしろ作ればいい。カカシさんも落ち着くし野次馬もいなくなるしウィンウィンじゃないですか。」
自分で言っていて訳がわからないしこの状況が訳がわからない。そもそも私なんでこんなに怒ってるだろ。
壁ドンだなんてされたから?
でも相手がイタチくんだったら私はどう思ったんだろう。まぁ状況にもよるよね。
睨みつけた先のカカシさんはどこか切なそうな顔をしている。どうしてそんな顔をしているんだろう。
私とカカシさんの関係って兄妹みたいな、家族みたいな幼馴染じゃなかったの?
「野次馬はきっと減らないよ。」
「えっ…?」
ポソリとそんな声が聞こえると、気づけばその胸に収められていた。