第12章 小休憩
「お前さ、もうちょっとシャキっとしなさいよ。だから変な奴があとを絶たないんだ。」
機嫌の悪そうなカカシさんは逃さないと言わんばかりに掴んでいる私の手を軽く持ち上げた。
「別にカカシさんに心配してもらわなくても大丈夫です。ていうかほとんどの人は『カカシさんがちょっかいを出してる子』って感じの野次馬ですからね?カカシさんにも非はあります!」
掴まれたては思いの外振りほどけた。
威圧感は相変わらずなところをみるとこのまま逃してはくれさそうだ。まぁいいか。
せっかくだから片すのを手伝ってもらおうと思い、持っていた本をカカシさんの胸に押しつける。
「これ。1番上の段届かないんでお願いします。」
「お前ね。」
カカシさんはため息をつきながらも、すっと伸ばすと自分が言ったところに本を戻してくれた。
「まぁ俺のせいもあるってのも分かってるけどさ、だからこうして助けにきてるんじゃない。」
「逆効果じゃないですか?」
「とりあえずさゆにはオレがついてるって認識されれば手は出してこないと思うから。」
「逆効果な気がするなぁ〜」
私にあの質問をしてくる人の理由はきっとそれぞれ。
だけどどの人にも急に上忍になった顔を見ない忍が「あの」畑カカシの幼馴染?それにしては距離近くない??みたいな疑問が根本にあるようだ。
「カカシさんがあんまり過保護だと私、カカシさんのファンに虐められちゃうかも。」
「俺が助けに行くから大丈夫。」
「逆効果だなぁ…」
本棚に寄りかかってはぁ、とため息をつく。
いろいろな人が声をかけてくれるのは嬉しいけど、正直もうカカシさんとの関係に首を突っ込まれるのは飽きた。
「そんな大層なものじゃないのにねぇ…」
ポツリとつぶやいたが返事はない。
その沈黙でただでさえ空気に重みのある図書室の静けさがズシリと増した気がした。平日のお昼時、きっといるのは私たちだけ。
「カカシさん?」
なんとなくその空気が辛くて隣を見上げれば、見慣れたその人は覆いかぶさるようにこちらを覗き込んでくる。
「さゆは本当に俺といても何にも思わないわけ?」