第2章 ことのはじまり
目がさめると白い天井が見えた。
ここはどこだろう。天国だろうか。
それにしては消毒液臭い。
頭がぼうっとしたまま体を起こすと腹部に痛みがある。そして同時に気づいた。
ここは病院だ。
生きてる……?
生きてる…
生きてる……!
生きてる………!!!
スズミと先生はもうダメかもしれない…でもアオリは?私と同時に刺されたならアオリも助かってるはず!
アオリはどこ?
あたりをきょろきょろと見渡すが部屋には自分しかいない。
「アオリ…」
無意識に体が浮いた。
アオリを探さなきゃ。
腹部の痛みなど最早どうでもいい。
点滴を外そうと手をかけた時だった。
「おいおい待て待て!」
動物の面をした忍に急に手を押さえつけられた。突然のことに体がビクッと反応する。
誰?敵?私を仕留め損ねたからきたの?
慌ててチャクラを練ろうとすると相手が手を離した。
「落ち着け、俺は木の葉の忍だ。お前をここまで連れてきたのも俺だ。」
木の葉の額当てを腰のポーチから出して見せてくる。
でも、だからなんだ。
「…他に証拠は…?」
「これ以上に何見せろってんだ?」
「額当てなんて里の忍を殺せば手に入る…!私を殺しに来たんでしょう?!アオリは?アオリも殺したの?!」
「おい…!落ち着けって…」
「なんじゃ騒がしい。」
面の男の背後から現れたのは三代目だった。
「三代目…こいつ気が動転してるみたいで…」
「無理もない。まだ経験が浅いうちに目の前で仲間が殺されたのだ。そもそも暗部を見るのも初めてなはずだしな。」
三代目がこちらに向く。
「さゆ、ワシを見ろ。まずここはどこかわかるか?」
「木の葉の…病院…?」
「そうじゃ。この面の男は特殊暗殺部隊、通称暗部という組織の者、敵ではない。安心していい。」
「………そう…ですか……ごめんなさい……」
「…気にするな。俺も気配を消して現れて悪かった。忍としてお前の判断は正しかったよ。」
「………あの…」
頭はまだ混乱している。
だけど今はこれ以上考えられなかった。
鼓動が速くなるのを感じる。
「アオリは…?」
一時の静寂。口を開いたのは面の男だった。
「お前と一緒に刺された子は間に合わなかった。他の班員は即死だ。」
あぁ……やっぱり?