第12章 小休憩
「さゆさん。俺はたとえさゆさんとカカシさんがお互いに家族のようにしか思ってないとしても、俺以外の男を連れ込んでるのはイヤです。」
「あら。」
「真面目に聞いてください。」
違うの、真面目には聞いてるの。
でもまっすぐとした目でイタチくんにそう言われてると照れてしまうとか、それを悟られたくなくてついふざけてしまう。
「面倒くさいかもしれないけど、今度からはちゃんと俺に言ってください。」
「…家には入れていいの?」
「イヤですけど…まぁ仕方ない時もあるだろうから」
「わかった。」
こくりと頷くとスッと彼の目の前に手を差し出す。
その手はグッと握り、小指だけがピョコンと立っている形。
「はい、指切り。」
「………さゆさんてたまに俺のことすごく子供扱いしますよね…」
そう言いながらも、不服そうな顔をして自分の小指を素直に絡めてくる彼にきゅんとくる。
「そうかもしれないねーイタチくん可愛いから。」
「………。」
「でもやっぱり、イタチくんのこと、男の子としてちゃんと好きだよ。」
そう言うと彼はガバッと頭を上げた。
口をぽかんとあけたその顔がじんわりと赤くなる。
ああほら、そういうところ。
いつも大人びた彼が見せるそういう仕草がたまらなく可愛い。そういうところ、みんなにも見せたいけど、やっぱり私だけが特別だといいなって思うから。
普段自分で抱え込む子だから
誰よりも周りをよく見る子だから
まぁ、今回は始めちょっと面倒くさいとか思っちゃったけど、イタチくんが自分の気持ちを私に伝えてくれるのは、なかなか悪くない。
うん。
というか。
「むしろ良いね。」
「えっ?」
「なんでもない!じゃあ今日はイタチくんの好きなもの作るから、うちでご飯食べてってよ。」
指切りしたままの手をとって、一緒に立ち上がらせる。
まだ納得のいかなそうな顔をしてはいるけど、素直についてきてくれるあたりそれで許してくれる様だ。