第12章 小休憩
「料理も上手だし、家事もすぐできるようになったし、将来が楽しみだよ」
にこにこと鼻歌を歌いながらそういう言葉に少しだけ胸がきゅっとなる。
なんだこれ…
「……俺より姉さんだろ。いろいろ細かいミス多いし大雑把だし…」
「ははっ!言われちゃったね!!」
洗濯物に目を落としながらそう言うと、「じゃあ私は家事のできる人探さなきゃ」と姉さんはまた楽しそうに笑う。
軽やかにそう言うが、きっと姉さんはまだ、イタチのコトが好きなんだろう。
でなきゃ今、俺はこうして洗濯物を畳んではいない。
姉さんはイタチと結婚したいのかな?
イタチじゃなくても、きっといつか姉さんは誰かと結婚するだろう。
そしたら
俺は…?
「サスケくん?どうかした?」
「えっ?」
「手、止まってるよ。」
「ああ…」
姉さんの鼻歌を聞きながら、再び洗濯物を畳み始める。
俺もいつか、誰かと結婚するのだろうか?
微笑み、見つめ合う姉さんとイタチの姿が思い浮かぶ。
記憶の中の2人はいつも、お互いにしか見せない、柔らかな表情をしていた。
俺も、あんな風に、誰かを見るようになるのかな?
自分のそんな姿を思い浮かべようとするけど、浮かぶのはどうしても姉さんとイタチの姿だった。
あ、まただ。
胸がきゅっと苦しくなってくる。
っていうかさっきから何考えてんだ俺…
ふるふると頭を振ると、同時に隣で姉さんがうーんと伸びをする。
「終わったぁー!よし、次は晩御飯だ!」
「えっ?もう?」
「ごめんね、明日任務なの。という訳で頼むよお兄さん!」
スクッと立ちがった姉さんがこちらへ手を伸ばしてきた。にかっと笑うその人の手を取ると、じんわりと熱が伝わってくる。
…まぁ、先のことなんて今はいいか。
とりあえず今は、心地よいこの人の隣に浸っていたい。
ああ、そうか。
少しだけ、イタチの気持ちがわかった。
きっとあいつも、この心地良さに浸かっていたんだ。
「…でも、あいつにはやれないな…」
「えっ?なんか言った?」
「なんも。」
イタチには姉さんはやらない。
姉さんの結婚相手は俺が見定めるんだ。
この人の笑顔を、ちゃんと守れるかを。
「俺が姉さんを幸せにするから!」
「えっ?」
>いつかのウェディング.fin