第11章 五里霧中
飲み始めて2・3杯目。
酔いが回った様には見えないけどテンションが上がっているのかペラペラと愚痴るカカシ上忍が目の前に出来上がっている。
「さゆったらさー私に気にしないで彼女とか作ったらどうですか?とか言うんだよー??俺の気も知らないでさーーー」
「ずっとカカシさんカカシさん言ってたのにイタチに惚れるしさーーーぁ?」
…………帰りたい。
「大変っすね…」
もうこれを飲み終わったら帰ろうかな。
そう思いながらハイボールを喉に流す。
「ゲンマくんはさゆと急に距離近くなるしさーー」
「ぶっ…がはっ」
急にこちらをギロッと睨んできたので思わずむせてしまい、咳が止まらない。
くっそ……
「言っとくけど…俺は別に惚れてませんから。」
「へーーーーーーーーーー」
「長い。」
「でも意識はしてるでしょ」
「……まぁ。」
「ほらーーー!!!!」
ほらーーー!!!!じゃない。
一体誰のせいだと思ってるんだよ。
まぁそのおかげで話をすることができたというか、あいつを少しはちゃんと知ることができたけれど、だからといってカカシ上忍に睨まれる様な関係ではない。
「俺とあいつはイビキ達と似たような関係ですよ。あんたが嫉妬する様なもんじゃない。」
近からず遠からず。
ちゃんとあいつの気持ちを見る。
でもそれは何かあったとき味方になってやるってことじゃなくて、理解しあった上で戦うって事だ。
だから恋愛感情とかじゃない。
断じて。
「というか突っかかるならライドウやアオバとかでしょう…なんで俺ばっか…」
「ま、あいつらも確かにベタベタするのは気にくわないけど、あいつらはあくまでファンみたいなもんじゃんない。」
「…ファン?」
「そ。単純にかわいい女の子と話すのたのしー!って感じ。でもゲンマくんは違うもの。」
頬杖をついたカカシ上忍は、よく見ると男目線からでもイケメンだなと思うその目でこちらを見つめる。
「ゲンマくんはさゆ自信を見て、その上で知ろうとしてるから。」