第1章 幸せの黒猫
のこのこと黒猫の後を追う。
(あ、まさかの目的地ついちゃった)
(これは仕事しろってことか)
(クロスケごめんね、もう構ってあげれないや)
勝手にクロスケと名付けた黒猫は木の植え込みの中に入っていった。
また仕事を再開する。
「この近くモデルルームオープンしました〜」
〜🎶17時のアラーム音🎶〜
(さーー!終わった‼︎帰ーろっと)
集合場所となっているマンションの一室で身支度を整え、『お疲れ様でしたー』と一通り挨拶して外に出ると、昼間出会ったクロスケが出入り口で寝そべっていた。
「クロスケ⁈何でここに?」
クロスケが頭を上げる。
返事を待つけど尻尾がゆらゆら揺れるばかり。
(そりゃそうだよね、返事してくれるわけ無いよね…)
(何でここにいるんだろう?)
(あ…)
クロスケは立ち上がりこちらを見つめて歩き出した。
昼間のデジャブか?と目をシパシパさせて、
(今日この後暇だからクロスケの後ついてってみようかな)
と、今夜の予定を立てる。
クロスケが振り返り、不思議そうに見つめた気がした。
私も同じように首をかしげると、ツーンと先へ行ってしまう。
「あ、まってよ!」