第2章 指先の赤ペン
「めぐちゃん?」
初対面の男の人にいきなり名前で呼ばれた。
途端に怪しいものを見るような怪訝な顔になる。
(なんでこの人私の名前を…)
上から下からその人をジロッと見ると首から名札のようなものを下げている。
しかし裏だ。
「あの…どこかでお会いしましたか…」
「何言うてんの!僕、ここの社員!ホラ!」
ニコッと笑い、名札を裏返して見せてくれた。
(SHOTA…)
「しょ…た…あ、しょうたさんか!
はッッ!初めまして今日からこちらでお世話になる久野です。よろしくお願ってウワッ!」
いきなりのハグ。
顔が真っ赤になり頭から湯気が上がる。体が強張る。
全身汗ばむのが分かる。
「めぐちゃんめっちゃイイニオイ!
すっごい女の子のニオイ!」