第9章 失ったモノ
える
じじじっ_____と音を立ててチャックが下される。
そういえば、私汚く無いのかな?
髪も何だかいつもよりサラサラしていて、
汗書いたときみたいにベタつき感が無い。
岩「黒の塔のマネージャーと、お前のクラスの、
谷地っていうやつが毎日きて、世話してくれてたんだよ。」
ありがとう、言わなきゃな。
フッと笑うと岩泉さんも笑う。
岩「だから、変な心配すんな。
お前は、綺麗だ。」
綺麗だって言葉に何だかとても重みを感じて……
国見くんとのことがあったから、
別に国見くんが嫌とかそんなんじゃ無いけど。
上手い言葉なんて無いけど、
安心したかったんだ。
ポロポロと溢れる涙を優しく拭う。
目尻に柔らかく、あったかい何かが触れる。
岩「しょっぺ…」
目尻に、頬に、キスを落とす。
ときどきザラついた舌が涙をとる。
岩「泣くな。全部忘れさせてやるよ。」
真剣な表情。
この人の言葉は、あったかい。
冷たい寂しさなんてもういらない。
あったかい優しさだけが欲しいの。