第9章 失ったモノ
える
岩「今回は、同意の上だからな。」
今回は。
彼なりにあの日の出来事は思っていたより深いらしい。
まぁ、そんなに長い年月が経ったっていうほど過去でも無いからだろうけど….
もう一度、確認する様に彼はまた尋ねる。
岩「絶対に最後までしない。だとしても、
えるはまだ本調子じゃ無いんだ。
それでも本当に、いいのか?」
ここまで来といて、臆病になんてならないで。
わたしだって不安なんだ。
こんなこと、誰ともしたこと無いんだから。
岩泉さんの目を見据えてしっかりと頷く。
岩泉さんの手が顎に添えられる。
また、深いキスをした。
何度もなんども、何かを確かめる様に。
何度目かもうわからないくらい朦朧とした意識の中で
岩泉さんの名前を呼ぶ。
岩「える……。。。。」
何を言ったの?
わからない、という表情のわたしに笑いかけて
服に手をかけた。