第9章 失ったモノ
える
3時を過ぎて、やることがなくなってしまった。
学校は何時までだろう
部活は何時までだろう
「早く帰ってこないかなぁ…」
さすがに誰も話し相手がいないと寂しい。
コンコン!
誰かがドアをノックする
「入ればいいのに…」
そうつぶやいて、ドアに近づく。
ドアを引くとそこには小さな男の子。
「こんにちは…?」
スタスタと横を通って、
「ご飯食べたい。
さっきまで食べてたでしょ?」
そのまま椅子にどっかりと座ると、
ポンッ!と本を出した。
「えっ!?」
「何驚いてんのさ。
それより、早くして欲しいんだけど」
小さいのに高圧的な態度は、全く変わってない。
「また、わがまま言ってる。」
「それでも許してくれるのがえるでしょ。
早くしてよ。」
仕方ないな、と言ってキッチンに向かう
________あれ?
「オムライスでいいの?」
「いっつもそうでしょ、ねぇ早く」
そうだよね、いつもそう。
「はいどうぞ」
テーブルにコトリと置くと、
少しだけ目を輝かせて本を置く。
「うん、まぁまぁだな。」
「美味しいんでしょ
頑張ったんだから、オムライス」
「オムライス頑張るって何をだよ」
「卵のふわふわ具合?」
「疑問系じゃねーか」
「でも頑張ったんだよ」
________君が大好きだから
「まぁ、久しぶりに食べたし、褒めてやってもいい」
「上から目線だし…」
「でも、ホイホイ飲ませてんのが気にくわねぇ
気ィ、つけろよ、お前も狙われるんだから」
そっと添えられた手に重ねて頷いた