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吸血鬼なんて聞いてないっ!

第8章 狂気


国見

国「えるは…」


岩「えるは医務室だ。
目覚めてすぐに対応できるように、
そっちのベッドで寝てる。」

目覚めてすぐに、それは意識が戻ってないことを
示していた。

俺を医務室に運べなかった理由は、
えるが俺を見ればどうなるかわからないからだ。

国「えるの様子も教えてもらえますか。」

いいのか?という目を向けた岩泉さんに
俺は頷いた。

岩「あいつの首元に2つ、肩に3つ、
右手首に1つ、左腹部に1つ。
それが見つけられた傷の数だ。
お前が傷を消してなければ、それで全部のはずだ。
俺らがみつけたときには、貧血でなのか、
意識がはっきりしてなかった。
譫言のように何かつぶやいてたが
口が動くばかりで何を言っているのかわからなかった。」

一旦、言葉を切って俺の様子を伺った。

どんな顔をしているのかわからなかったから、
とりあえず岩泉さんには表情がわからないように
顔を伏せた。

岩「お前を止めた後は、起きることなく
ぐったりしてた。
何もつぶやかなかったし、何かをした訳でもなかった。
それで今は、医務室で寝てるってとこだ。」


国「まだ、えるは目を覚ましてないんですよね。」

岩「あぁ。」


存在感のある沈黙が続き、
悪い方向にしか思考が向かない。

岩「んな顔するなって」

岩泉さんが沈黙を破った。

岩「えるは、大丈夫だ。
心配かも知んねーけど、
今は信じて待っててやるのが1番だろ。
意識が戻ったら、お前に伝えるよ。」


安心させるような強い笑みを向けてくれた。

待ってやること、信じてやること、

取り返しのできないことをした。
謝るべきことをした。

どんなに悔やんでも、俺ができることなんかない。







俺は、強く頷いた。
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