第8章 狂気
No side
ゆかに視線を落とした岩泉は、
ゆっくりと話し始めた。
岩「俺と矢巾で様子を見に行った時には、
お前がえるの上に乗って肩に噛み付いてた。
えるの至る所に刺し傷があって
ベットには血痕があった。
見てられないような惨状だったが、
矢巾がまずお前を引き剥がそうとして駆け寄った。
矢巾と二人掛かりで引っ張っても
お前は吸い付いてるみたいに離れなかった。
この時点でお前の目は赤かった。」
国見は鏡をもう一度見て、
まだ赤い目を確認した。
岩「京谷が来ても、どうにもならないから
悪いが俺はお前を殴った。
それしか方法がなかった。
あいつの血吸ってるお前を、普通に止めることができなかった。
手荒でもそれを初めからしていれば、
余計な傷付けなくても良かったのにな。
ごめんな」
いつの間にか、岩泉の視線は国見に戻っていた。
国「元は、俺がこんなことしなきゃ良かったんです。
すみませんでした。」
岩泉の手には包帯が巻かれていた。
きっと矢巾の腕も同様であろう。
その視線に気づいた岩泉は眉を下げて
口角を少しだけ上げた
岩「大層なモンに見えるけど、そんなでもない。
保健室に連れてこうとする馬鹿が焦って巻いただけだ。
変にキツめに巻かれて、外せないだけで
なんてことはない」
はっきりそう言われては、ダラダラと続けても無意味と知り、
国見はすいません、とだけ言って口を噤んだ。