第8章 狂気
国見
目が覚めた。
頬が痛い。
体を起こすと関節がなった。
岩「起きたか」
国「岩、泉さん?」
俺が横になっていた場所は応接室のソファ。
あれ、何で俺ここにいるんだ?
額に手を押し付けた。
思い出そうとすると、ひどく頭が痛む。
痛みを誤魔化す為に前髪を強く掴む。
岩「大丈夫か、国見」
国「はい…」
岩「お前、えるの部屋いたの覚えてるか」
国見「える…」
そうだ、えるの部屋連れてって、血吸って…。
また頭が割れる様な痛み。
岩「またなってんぞ」
ハッとして岩泉さんを見上げると
鏡を指差していた。
鏡に映る俺の目は…
赤かった。
何だか怖くなって目を押さえつける
国「"また"ってどういうことですか」
岩「えるの血を吸ってた時だよ」
国「…俺、えるに何したんですか」
少し気まずそうに目を伏せると
暫く顔をしかめてから、こちらを向いた。
岩「えるの血を吸いすぎた。
あらゆる場所に、跡をつけすぎた。
何より、目に見えない傷をおわせた。」
目に、見えない傷。
俺は、心まで傷付けたのか。
国「えるは、どうしてますか。」
岩「今は寝てる。
花巻や松川が見てくれてるはずだ。」
返事をする事も、頷くこともできずに
真っ白な床を見つめた。
喋ろうとした言葉がなかなか形にならずに
口の中でまごついた。
そしてやっと絞り出された声は
ひどく枯れた声だった。
「岩泉さん、俺のしたことを全部教えて下さい。」