第7章 挑戦
No Seid
花「えるー出てきていいぞー。」
扉の向こうに居るえるに声をかける。
全員が着替え終わったことを確認してからなので
安心して出てきて欲しいところだが
出てくる気配がない。
花「及川も金田一もいないしなー」
困った様子の花巻のそばに松川はやってきた。
松「花巻ー、まだ出れなさそう?」
花「あぁ。なんか返事もないんだよ。
そんなにショックな感じかな。」
そんなやりとりを見て下級生たちは顔を見合わせる
矢「大丈夫なのか、える」
金「俺ん時寝てましたよ。」
国「なら話は早いでしょう。」
国見はそういうと立ち上がり、
更衣室の前に向かう。
国「松川さん、花巻さん、える出てこないんですよね?」
あぁ。と返す2人を見るとドアノブに手をかける。
制止の声も聞かず扉を引き、中へ入っていく。
そこに監督達と話していた及川と岩泉が戻ってくる。
岩「どうした?」
事情を説明し終えると、岩泉も扉を引く。
すると、えるをおぶった国見が同時に押す。
国「金田一の言う通り寝てました、こいつ。
俺、運んでいきます。同じ一年なんで。」
無表情にそう言ったかと思うと、頭を下げ脇を通り抜ける。
自分の荷物を金田一に持たせると、もう帰る気満々だ。
及「練習の後にケロっとして
女の子おぶれる感じ羨ましいねぇ。
いつも頼りになってる燃費良さが、
今めっちゃ腹立つわー」
岩「お前、練習終わりに女1人もおぶって
帰れないのも問題だと思うけどな。」
及「そーゆーことじゃなくてさ、
要するに、俺がおんぶしてあげたかったのー!」
うわー、という目で見る3年の面々。
及川の視線の先には、いつも通りボーとしてる
無機質な表情の国見。
その視線に気付かずに、他の一点を見つめたり、
時計を見たりしている。
岩「バカみたいなこと言ってねーで帰んぞ。」
3年が体育館を出始めると、それに続く様に1、2年が外へ出た。