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吸血鬼なんて聞いてないっ!

第6章 距離感



える

一つ手を叩いて、

える「この話題、やめましょう。」

ね?なんて笑って見せた。

岩泉さんは困った様に眉をひそめながら、
口元には笑みが浮かべられていた。
それから、私が今まで使っていた机に目を移した。

岩「勉強、途中だったんだな。」

える「まぁ。でも、本当少ししかやってないですけど…。」

岩泉さんは、机の上にあったノートを手に取る。

える「英語は、ダメです!変な文章になってるで。」

岩「本当だ。なんだよこれ。」

なんて、笑っている。
普段の笑顔だ。
と言っても、まだ出会ってからまだ日も浅いけれど。

そんなことを考えていると、
岩泉さんは机の椅子を引いてくれた。

岩「ほら、座れ。教えてやるよ。」

素直に椅子にすわりペンをとる。

後ろから重なる様にして岩泉さんは
教科書を指差す。

岩「ここは、後置詞の文だからこの和訳だと、おかしいだろ。こっちも…」

岩泉さんが説明してくれてるのは、嬉しいけど
顔が近いです…。

英単語を並べる口元を見つめていると、
強制的に目線を合わせさせられる。

岩「聞いてんのか、える。」

える「は、はいっ!」

声が出すぎて逆に怪しい顔をされたけど知らないふりをした。


岩「なら、やってみろ。」

課題を指差された。

えっ、という引きつった声が溢れると
デコピンされた。

岩「先輩が教えてやってんのにうわの空か。」

える「すいません。」

岩「もう一回教えてやるから、ちゃんと聞いとけ、ばーか。」

及川さんに言う様なバカじゃなくて、
面倒みのいいお兄ちゃんみたいなばか

える「お願いします、先輩。」

私は笑顔で言った。


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