第6章 距離感
える
える「ここ、何処…?」
うろ覚えの校舎はわかりづらい。
教室からは結構歩いた気がするけど…。
まだ、お昼休みはあるけれど、
教室に戻るのにどれくらい時間がかかるだろう。
…………よし、頑張ろう。
とりあえず歩き初めて、
角を曲がると、手を引かれた。
える「きゃ!」
口元を覆われて、これ以上の声が出なかった。
怖くて必死に手をばたつかせる。
「暴れないで!頼むから!変なことしないからっ!」
もう片方の手で、手を押さえられて上手く身動きできない。
両脚の間に、その人の脚があって、完全に、どうしようもない。
「そういうのじゃないから、安心して?
俺、ちょっと逃げててさ。」
そういうのって何?
というか、逃げてるってどういうこと??
てか、顔が近いっ!
「おい力!課題を見せろ!」
「オレ達から、逃げれると思うなよっ!」
遠くからの筈なのに、とても大きな声。
「やばい、ノヤたちだ!」
いきなり手を引かれて走って空き教室へ。