第5章 王様ゲーム
える
及「える、こっち。」
胡座をかいた上に私を座らせる。
える「及川さん、重いですよ?むしろ及川さんが罰ゲーム受けてるみたいな…。」
収まっている私の前に、及川さんの腕が組まれる。
及「これがいーの。このまま続けるからね!」
そう言われてしまったから、及川さんに寄りかかる。
及(無自覚め。ヤキモチくらい気づこうよ。)
及川さんが私に身体を預ける。
そのままゲームは続行された。
時折、間接キスや、抱きつきなどという変な命令が下りながら
何回も王様が変わって、お菓子が少しなくなってきていたから、時間が経ったことに気付く。
最後のチョコに手をつけた。
える「アルコール?」
食べた時に感じた独特の苦さ。
出すわけにも行かず、そのまま飲み込む。
える(変な質問は、これのせい?)
制止する岩泉さんの言葉もかかりにくくなったり、
普段言わないような変な命令も、これのせいかもしれない。
える「お茶、入れてきます。」
と、空いているコップを持った。
岩「俺も手伝う。」
私の持っていた幾つかのコップを手にして立ち上がる。
台所に移動して、カウンターにコップを並べる。
冷蔵庫から、冷えたお茶を出してトクトクと注いでいく。
全てのコップに注ぎ終えると冷蔵庫にお茶を戻す。
える「きゃっ!」
ひやりと伝わる床の冷たさ。
える「岩、泉さんっ、手、離してください。」
無言でお茶を口に含む岩泉さん。
そのまま口付けされて、冷たい物が流れ込んでくる。
抵抗すると、唇の開いたところからお茶が零れる。
なす術もなくそのままそれを飲んでしまった。
岩「冷てぇな。」
まともに、岩泉さんの顔が見れなかった。
やっぱり、お酒のせいかな。
冷静に分析できるのは頭の1割ぐらいで
後は恥ずかしさで埋まっていた。
着ていたTシャツを捲られ、指が腰のラインをなぞる。
手つきが妙に色っぽくて、なんだか危うい気持ちになってくる。
振り払おうとした手は頭の上に拘束されて。
える「ひゃあっ 」
みんなの方で、及川さんが私の声に気づいて
及「えるどうしたの?」
岩「零しただけだ。」
その程度じゃない。助けて!