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吸血鬼なんて聞いてないっ!

第4章 蒼 イ 塔と私



矢巾

コンコン

音がしない。
叩いたドアの音しかしない。

コンコン

…返事がない。

しかし、岩泉さん曰く、この部屋以外はまだ案内していないという。
何処にも、いけないはずだ。

矢(入って呼ぶべきか?でも、女の部屋だぞ?
それって大丈夫なのか?)

心の中で考えながら、しかし入って呼ぶ事しか
思いつく選択肢もなく、ドアノブをひねる。

矢(あいた…。)

鍵がかかっていなかった。

矢(無用心だな。ここ、男しかいないのに。)

後で言っておかなければと思い、部屋に入る。

矢「入るぞ。」

返事がないのでそのまま入る。

すると、ベットの上で寝息を立てる女がいた。

矢「える…?起きろ。呼びに来た。」

声をかけても起きない。
身体を揺すろうと伸ばした手を止めた。

矢(さわ…って、いいのか?)

男が女に触れて起こす事は、いいのだろうか。
このまま、声をかけ続けて起こすべきか。
迷いつつも、手を伸ばした。

あと、数センチ。

える「んっ…。」

ビクッ!

急に発せられた声に驚き、手を引く。

矢「驚かせるなよ、ったく。」

と声に出すも、内心ハラハラだ。

矢「起きろ。おい、える」

声をかけると、ゆっくりと瞼が開く。

える「…?誰、です…?」

眠気が残ったままのあいつは言った。

夜「2年の矢巾 秀。お前を呼びに来たんだ。」

える「矢巾、さん。何かあったんですか?」

矢「詳しい話は向こう行ってからな。行くぞ。」

える「はい。」

ベットから降りて、扉の方へ歩き出す。

ドアノブに手をかけて思い出す。

矢「お前、鍵閉めろよ。危ないぞ。」

える「えっと、はい。」

わかったような、わかってないような返事で心配ではあるが、
とりあえず出るときはしっかり鍵をかけるようなので
まあ、いいとしよう。

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