第4章 蒼 イ 塔と私
える
岩泉さんが及川さんを置いて
わたしのへやまで送ってくれた。
岩「ここが、お前の部屋だからな。
道覚えられたか?」
える「はい。大丈夫です。」
ドアの前まで送ってくれた岩泉さん。
岩「少ししたら、また呼びに来るから
やることあるだろうし、ゆっくりしてろ。」
える「はい、ありがとうございます。」
岩泉さんが、戻っていくのを見送った後、
鍵を差し込みドアを上げた。
える「すごい…。」
もう家具は備え付けで、
淡い青色の家具が多いが、ベットだけは
白さを解き放っていた。
旅行バッグのなかにある洋服などを
クローゼットにつめて、
ベットに座り込む。
まだ、何も入っていないはずの本棚には、
一冊の本が入っていた。
前の人の物かと思い、本を手にする為に
立ち上がった。
本を手にして、またベットに戻り、
表紙をまじまじと見る。
える(何も書かれていない…?)
表紙をめくり、ページをめくる。
羊皮紙のような紙が落ちてきた
紙を拾うと
〈Your name ?〉
という文字が書かれていた。
すると表紙には焼かれた様に
文字が浮かぶ。
える「私の…」
筆記体で書かれたそれは、私の名
羊皮紙に、目を移すとそこにはもう
何も書かれていなかった。