第3章 知ル
える
名前は知ることができた。
でも、気になることが一つ。
「イブって…?」
私の名前を知ってか知らないか
私をイブと呼ぶ。
及「君のことだよ?何言ってるの?」
当たり前のようにいう。
違う。私は える。
イブって人は、別の誰か。
私なんかじゃない。
戸惑った様子の私に続ける。
菅「まだ、戻ってないんでしょ?多分」
戻るって…?
及「高校生になるまで?まっさかー!」
信じられない、という表情だが、
私には飲み込めない会話がされてる方が、信じられない。
菅「まぁゆっくり思い出せ。俺かと関わって思い出すってこともあるべ」
思い出す?何を?
及「じゃあ、心優しい及川さんが、ちょっとヒント。教えてあげよっか。」
自慢気に言っていた。
及「アダムとイブは知ってる?」
聖書に出てくる、神様の作った
初めの人間。
確か、林檎を食べてエデンから追放されちゃったんだっけ。
及「君は、イブの生まれ変わり。…純潔で、純血の持ち主。君の血は、誰もが欲している。
…もちろん俺も、その1人だけどね。」
ゾクリとした。
指先から、冷たさが全身にわたるようだった。
及「ま、まだ覚醒されてないからそれほどでもないけどさ。」
なんて笑顔で言った。
さっきまでの冷たさは何処へ行ったのだろう。
菅「覚醒前と言っても普通の血より何倍も美味しいし、こういうことにもなると思うよ」
私の血を見ていった。
そして彼から、こんな提案が出た。