第10章 変化
花巻
花「多分、覚えてないと思うけど
俺ら昔会ったことあるんだよな」
える「そう、なんですか?」
必死に思い出そうとしてくれてるのは分かるんだけど…。
花「俺ら吸血鬼の事を覚えてる人がいると面倒だから、
その時の記憶、消しちゃったんだよね」
える「吸血鬼ってそんなことも出来るんですね…」
松「俺らはほとんど外見が吸血鬼になった時から変わらないから
例えばえるが10歳の時あった事があったとして、
えるは成長するから外見も変わるけど
俺らは変わらないから違和感を感じる。
そうすると俺らにとっては都合が悪いってことだ」
えるは小さく?を浮かべながら
少しずつ飲み込んでいるようにも見える。
松の方をチラリと見て
花「見た目少し変えることぐらいなら出来るけど
人間から見たらやっぱり違和感感じる訳だな」
える「そうですね。
見た目が変わらないとやっぱり変ですもんね。
あともう一つ引っかかったのは
吸血鬼になるってどういう事…?」
松「あー、それは説明すると長くなるからまた今度な」
確かに俺らは複雑っちゃ複雑だから
長くなるしなーとか考えつつ甘いレモンティを一口。
花「そ。今日は俺らとえるの初めて会った時の話をしたくてさ。
記憶は返せないけど、思い出話?を聞いて欲しくて」
そう、これは俺のわがまま。
自分で消しといてあれだけど
思い出してほしいっていうワガママ。
える「思い出せるかどうかは別として、
聞きたいです。
私と花巻さんと、松川さんの思い出話」
クスクスと笑いながら言ってくれることが
すごく嬉しくて。
松も思わず頬が緩んでいる。
花「おう!」
と返事をして、どこから話そうかと胸を踊らせた。