第10章 変化
える
国「じゃ、行くか」
後ろのグリップを握って、ゆっくりと押してくれる。
国「どうやっても自分で登ったの?
今のじゃ無理でしょ?」
そうは言われても、覚えてない…
国「しょうがない」
車椅子の前にしゃがんで、ん、とこちらを見る。
国「乗って、早く。部屋まで連れてくから」
える『いや、でも重いし、這ってでも階段登るよ』
国「這ってでもなんて無理だよ。
わかったら早くして。寮長会議始まるよ」
背を向けながら、尤もな理由を言われてぐうの音も出ない。
ごめんなさいって思いながらおそるおそる首に手を回す。
国「える軽くなった?前より居ないみたい。
この前も思ったけど、ちゃんと食べてんの?」
少し大袈裟に首を縦にふる。
私結構食べる方らしいし、食べるものはちゃんと食べてる。
お菓子とかも食べてるから、むしろ太ってる気がする。
そういえば前って?
私国見くんにおぶってもらったことあったっけ?