第10章 変化
える
ちょっとだけ、怖い。
曖昧な記憶でも、感情だけは根付いたままだった。
あまり踏み入れたくないけど……
なんとなく、知らなきゃいけない気がする。
私の部屋だ。
怖がる必要なんてないよ。
それに3日も経っているんだ。
そのまま放置されていることなんてない。
私も困るけど、この寮にとっても
いわく付きとか言われる嫌な場所になるだろうし。
うん。大丈夫だ。
ドアノブに触れた瞬間、何かを感じた。
いきなり何かが頭に飛び出してきたような何か。
クラリとめまいがしたが、車イスは簡単に倒れることはなかった。
グッとドアを押し開いた。
少し見慣れた私の部屋だ。
ビクビクして入ったのに、なんだか普通だ。
1つ1つものを確認する。
ほとんどの物は変わっていなかった。
配置とかは多少の変化はあった。
それはわかるが、あの本が見当たらない。
真っ青なあの表紙の。
青いインクをこぼしたようなあの本が。
でももういいか。
自分のものではない。
せめて、何処にいったのかだけでも聞いておこう。