第3章 甘木生馬ーマッキー
曲が終わると同時に、客席から声が聞こえた。
「すごいな静香。完璧じゃん!」
「シュン…見てたの?」
お掃除中だったのかな。ほうき持ってる。
「うん!完璧だった」
「この前は、僕のパート踊ってたよね」
「もう、静香ちゃんがマッキーの代わりやればいいんじゃない?」
舞台の袖からは、カケル君、トミー、キラが姿を見せた。
「みんな…」
「マッキー、静香ちゃんに足向けて寝られないね」
「いつも練習付き合ってくれて、静香ちゃんいなくなったら困るね」
キラのキツイ一言。
「え?!お前、辞めんの?!」
トミーの一言にマッキーが慌ててる。
いや…いつかは辞めるのかもしれないけど…
「静香に辞められたら誰が練習付き合ってくれんだよー…」
そこかよ!
「そうだ!オレ、がんばって売れるから!そうしたらずっと一緒にいられるだろ!」
私の手を取って、大真面目な顔してるけど…それって…
「それって、プロポーズ?」
「本人、気づいてないみたいだけどね」
「しかも、だっさいジャージ姿で言われてもねー」
トミー、キラ、シュンてば…
「マッキーには、静香ちゃんみたいな人が必要だと思うよ」
…カケル君…いい笑顔で言わないでよ…
「分かったから、早くダンス覚えてね」
「おう!まかせとけ!」
溜息混じりに呟いたけど、マッキーは、うれしそうに笑った。
意味、分かってるのかな…
まぁ、特に意味なんてないのかな。マッキーだし。
でもずっと、支えていけたらいいな…
~終わり~