第3章 甘木生馬ーマッキー
「あー!いたいた!静香!」
名前を呼ばれて振り返ると、結構遠くに姿が見えた。
あんな遠くから声をかけるなんて…いつも元気だな。
「静香に頼みがあるんだけどさー」
近づいてきた彼は、マッキーこと甘木生馬。
少年ハリウッドのリーダーで19歳。
私より一つ年上だけど、いつも一人で突っ走っている。
どこか違う方向に行くんじゃないかって、冷や冷やして、放っておけない感じなんだよね。
「なーに?頼みって」
「ダンスの練習付き合ってくれ!」
両手を合わせて頭を下げるマッキー。
またか…いつものことだね。
「メンバーに断られたの?」
「ついでにバカにされた…」
これもいつものことだ。
普段はダンスレッスンにも付き合ってくれることがほとんどだけど、
忙しかったのかな?
「じゃあ、ステージに行こうか」
「おう!いつも悪いな!」
「バカの相手は慣れてるから」
「お前まで言うのかよーひでー」
「はいはい。さっさと行くよ」
狭い裏通路を通って、ステージに向かった。