第11章 バレンタイン編 佐伯希星ーキラー
開演時間前の合間を見つけて、私はキラに声をかけた。
「ごめんね、突然」
一人だったからちょうど良かった。
「どうしたの?静香ちゃん」
うれしそうな顔のキラを見ると、ちょっと言いづらいかも…
「えっと…今まで、キラの気持ちに対して曖昧な態度をとってごめんなさい」
私は頭を下げた。
「静香ちゃん、突然どうしたの?」
慌てるキラ。…当然だよね。
「キラの真剣な気持ちを知って、ちゃんと考えたの」
キラの目を見て言わなくちゃ。
「私、キラのこと…」
「ちょ、ちょっと待って!」
言いかけた瞬間、キラが私を抱きしめた。
「え?キラ??」
「僕、諦めないからね」
腕に力を込めるキラ。…もしかして、誤解してる?