第1章 始まりはあの日から
こんなことは間違っている。
ボクなんかのために二人が傷つくなんて。
そう思うと、やっと動いたこの体。
椿姉さまに刺さったその刃をどうにか抜く。
その反動で少々まぶたを切ってしまったけれど、大したことはなかったので気にせず椿姉さまの手当てをする。
大好きなクロスの言葉を無視してでもボクの心を守ろうとしてくれた姉さまを死なせないために。
けれど、体が言うことを聞かないのか楓姉さまはこちらに刃物を振り下ろす。
ボクは体をひねるが、よけきることができず目を切られてしまう。
左目が開かない。
ボクの右目は、母さんに言われて昔から眼帯をしているため、ボクは両目を目隠ししている状態になっていた。
その間、骨を圧迫するような肉を引き裂くような音が聞こえてきた。
どうやらボクは姉さまたちのアクマ化を止められなかったらしい。
悔しかった。
こんなことを思うのはお門違いだってわかっているのに、クロスを憎むのを止められなかった。