第2章 黒の教団
ヒクッとのどがひきつる。
なぜかじんわりと涙がにじんできた。
ボクはもう15歳なのに……。
どうしてか分からなかった。
けれどこの体は時が12歳の時に止まっているから、体に心が引きずられているのだろうか?
いやしかし、そのような副作用的なものは薬でしっかりと抑えているはず。
訳が分からず首を傾げれば、クロスはポンポンと頭を軽くたたく。
クロスを見上げればクロスはにかっと笑う。
「ちょっとバカ弟子のところに戻ってくるから、先にここにいて、バカ弟子が来たら先輩として助けてやってくれな」
クロスはいつもの笑顔で笑っていた。
その笑顔は姉さまたちと四人で暮らしていたころと変わらない。
ならばその笑顔を信じようと思う。
ボクはクロスと額を合わせる。
「またな」
「またね」
ボクとクロスや姉さまたちとの別れ方。
母さんに教えてもらった別れ方。
――――あなたが無事帰ってきますように
そうして、クロスは教会にいる弟子のもとへ行った。
その後ろ姿はいつもと同じようにどこか気だるげだったのがおかしくて仕方なかった。