第2章 黒の教団
「お、覚えてやがれ! いつか切ってやる!!」
ユウはそう吐き捨てると、足早に去っていった。
あれまぁ、なぜユウがボクに目線を合わせてガン見していたのかが分からなくなってしまったなぁ。
そう思い苦笑していると、ラビがまじまじとボクを見る。
「はぁ~、なんつうか梓ってすげえんだな。さすがに俺でも、ユウを子猫なんて例えるのは無理さ」
いろんな角度からボクを観察し、時にボクを持ち上げてこんな子供のどこにあんな大人の余裕が……?とうなっているラビにコムイは苦笑する。
「まぁまぁラビ。そろそろ梓をヘブ君のところに連れて行かなきゃだから」
ヘブ君?
また新しい名前にボクは思わずクロスを見る。
クロスはそんなボクに気付くとしゃがんでボクに目線を合わす。
なんだかいつかの港でクロスを見送ったときのようだなぁと思い、そしてそこで理解した。
ここでクロスとお別れなのだと。
そういえば、教会に12歳の弟子を置いてきたままだったはずだから、いつまでもボクと一緒にいられるわけではない。
そのことに気付いたボクがクロスと目を合わせると、クロスは眉根を下げて苦笑し頷く。