第2章 黒の教団
そう言うラビの表情はとても楽しそうだ。
というか、こいつがもう一人の神田か。
ユウはボクの苗字に気付いたのか、さっきまでの剣幕はどこへやら。
ポカンと目を瞬かせ、待て眉間にしわを寄せてボクに目線を合わす。
……。
その視線の鋭さにボクは思わず手を伸ばしてしまった。
片手をユウの頬に、もう片手でユウの眉間の皺を伸ばす。
「何やってんだてめぇ……」
「せっかくの美人さんが台無しだ。笑えとは言わんが、そんなに眉間にしわを寄せていると皺が取れなくなるぞ」
どこからそんな声を出しているのかと思うほどに、低い声で威嚇してくるその姿はなんだか虚勢を張っている子猫のよう。
ほんのり笑顔で対応していやると、伸ばしている皺がますます深いものに。
「おやおや、そんな子猫のように威嚇をしなくても、とって喰いやしないよ」
くすくすと笑いつつ頭をなでてやると、ユウはパシッとその手を払いズザザッと後ずさる。
その様子がさらにおかしく、笑っているとぎりっと歯をかみしめてこちらをすごい目で睨んでくる。