第2章 黒の教団
「もう! みんなその子を迎えにいったまま帰ってこないんだから」
固まった三人を前にボクがうんうんと頷いていると、奥からあのゴーレムと同じ声が聞こえた。
見れば眼鏡をかけた若い男が一人、こちらに向かって歩いてきた。
その声にみんなハッとしたように動き出す。
「コムイ……」
「兄さん……」
三人がつぶやく。
どうやらこの男の名はコムイというらしい。
そしてリナリーの兄なのか……雰囲気がどことなく似ているような気がする。
コムイはボクの前まで来ると、ニパッと笑う。
「やぁ、ようこそ黒の教団へ。ボクはここの室長をしているコムイ・リーというものだ。リナリーの兄でもあるね。よろしく」
「ボクの名前は梓。……神田 梓……。コムイは笑った表情がリナリーそっくりだね」
笑った顔をを見つつ、ボクが言えばコムイは虚を突かれたような表情をした。
なんか変なことを言ったかと首を傾げれば、コムイはほんのり泣きそうな表情をした後、嬉しそうに笑った。