第2章 黒の教団
「それはな、ゴーレムってんだ。今度梓にも作ってやるよ」
梓……あまり呼ばれないボクの名をクロスは呼ぶ。
母さんのお母さんと同じこの名前。
決して嫌いではないけれど、それでも、母さんも姉さまたちもこの名前を呼ぶとき悲しそうな顔をする。
だから、あまり呼ばれなかった。
けれど、クロスはボクを呼ぶとき必ずこの名前を呼ぶ。
「ゴーレム作るなら桜の柄をつけておくれ。母さんの名前の花なんだ。なんなら、楓の葉と椿の花もつけてくれてもいいよ」
そういえば、クロスは笑っておう、つけてやると言った。
クロスは温かい。
クロスがいるからボクは姉さまと離れていられる。
時々、姉さまがアクマになったときに感じた憎さが出てくることがあるけれど、それも最近はあまりなくなった。
とてもいいことだ。
「やあ、クロス元帥。おかえり。この子は新しいエクソシストかな?」
笑うクロスにボクもほんのりと微笑んでいると、かわいいゴーレムから、成人男性ほどだと思われる年齢の男の声が……。
なんて似合わない声なんだ!
ボクが絶望に打ちひしがれていると、またまたゴーレムとクロスの間で話が進む。