第6章 彼女が小さくなりました【及川徹】
「うぅ……」
財布の中身を見て悲しくなった。
『えっと…美咲は何が欲しいかな?』
コンビニに入り商品を見ていると、マッキーが
『えっ?そっか~美咲ちゃんはシュークリームが食べたいのか~』
わざと聞き耳を立てるように聞けば棚からシュークリームを手に取り、俺が持っていたカゴの中へ。
『ちょっ!マッキー!』
『美咲ちゃんはシュークリームが食べたいんだよね~』
コクリと美咲が頷いたため、返品は不可。
『えっ?塩キャラメル?食べたいんだー』
『国見ちゃん、棒読みだからね?』
『及川さん、マネが食べたいそうなので…』
言ってないよね?
つーか国見ちゃん、美咲の隣にしゃがんで一秒だったよね?
それから次々とカゴの中に入る商品。
全て彼らがただ食べたいだけだった。
『美咲、これにする~』
最後に美咲が入れたのは牛乳パン。
『美咲、これでいいの?』
美咲が好きなパンはメロンパンなのに…
牛乳パンは及川さんが好きなパンだよ。
『うん。美咲これがいい~。これすき』
『わかった。及川さんが買ってあげる』
『『『『あざーっす』』』』
『お前らじゃないから』
で、結局全部買わされた…と。
チラリと見ると体育館の隅に座り込み牛乳パンを頬張る美咲の姿。
「美咲、美味しい?」
コクリと頷き、パンから口を離すと2つに割った。
「あい…おいかわもどーぞ」
及川って…
「徹くんでしょ…いつもはそう呼ぶのに。まぁいいか。ありがとう」
美咲からパンを受け取ると一口かじった。
「おいしい?」
「うん。とっても…」
今まで食べた牛乳パンで一番美味しい。
「マネ、シュークリームも食べるか?ほら、あーん」
「あーん!」
「旨いだろ?」
「塩キャラメルも食べます?あーんして」
「あーん!」
「マッキーに国見ちゃん!何やってんの!?美咲、牛乳パンあげる。あーん」
俺に首を振る美咲。
「残念でした。及川さん、塩キャラメルは簡単には溶けません」