第6章 彼女が小さくなりました【及川徹】
「ちょっ!!離れるの!!」
「いやぁぁぁ!!」
「美咲ちゃーん!」
「いやぁぁぁ!!!」
「どうにかしろ…クソ川」
「待ってね~岩ちゃん、今!離れる!からっ!」
「いわちゃぁぁん!!」
俺は今、岩ちゃんにしがみついて離れない美咲を必死で引き離している。
「いわちゃぁぁん!」
“岩ちゃん”
普段美咲はそうは呼ばない。
何故呼び始めたか?
「つーか、マネージャーなんで幼女になってんの?」
「及川ロリコンかよ」
「マッキーもまっつんもからかわないの!」
美咲が小さくなったから。
『拾った』
『美咲!?』
岩ちゃんが小さくなった美咲を抱え体育館にやってきた。
小さい頃のアルバムを見たから直ぐに美咲だってわかった。
どうして見たか?
それは秘密。
「美咲~及川さんの所においで~!ほらほら~」
「いやっ!」
ガーン___
彼氏なのに…彼氏なのに…
「フられたぁぁ!」
及川さんショック…
「どうするんですか?この状況…誰がマネの面倒見るんですか?」
因みに俺はパスで……
そう言いながら国見ちゃんが聞いてきた。
「そりゃ彼氏である及川さんが」
胡座をかいた岩ちゃんの足の間にちょこんと座る美咲を見れば凄く嫌そうな顔を見せた。
「え!?何その嫌そうな表情!あれだけ及川さんの事好きって言ってた美咲だよね?キミ!!」
「及川、きっと夢だったんだ。今までのは全部」
えっ!?岩ちゃん何いってんの?
つーかいつの間にか岩ちゃん、美咲にメロメロじゃない!?
「いわちゃん!」
「おー。のど乾いたか?ジュース買いに行くか?」
「やったー!」
「じゃあ俺はお菓子買ってやるよ」
「俺も」
「じゃあ俺の塩キャラメルも…」
「国見、それは自分で買ってくれ」
美咲を連れゾロゾロと体育館を出て行く青城レギュラー陣。
「え!?ちょっ!!及川さん置いてかないで!!及川さんがジュースもお菓子も買ってあげるからぁぁぁ!」