第5章 彼女が小さくなりました【影山飛雄】
「影山、今はこれしか用意出来なかった」
「あ…いえ…あざっす!」
烏野に女子マネが美咲の他に居てくれて助かった。
俺だけじゃどうしていいか分からなかったから。
「とびお~」
可愛らしい洋服に着替えてきた美咲は俺の足元に寄ってきた。
「とびお~だっこ~」
「は?」
「だっこ~」
大きな瞳が俺を見つめていた。
「王様、抱っこだって。してあげなよ」
「あん!?」
「か、影山、抱っこしてあげなよ…ね?」
「うっす…」
月島の言葉は一々苛つかせる。
菅原さんに言われ、俺は恐る恐る美咲を抱き上げた。
「軽っ!!」
元々軽かったけど、小さくなってより一層軽くなっていた。
「とびお~たか~い!」
「お、おう」
なんだか不思議な感じだ。
美咲なのに美咲じゃないような…
「美咲が影山の子供みたいだな」
ボソッと菅原さんが呟いたのを聞いたら顔が暑くなった。
「王様顔真っ赤…」
「影山照れてんのか!?」
「てっ、照れてねーし………」
日向の言葉を否定しようとしたけど、否定しきれず最後は声が小さくなった。
「とびお~」
「っ!!」
美咲が子供…
いや、美咲に似た子供…
「いいな」
「とびお?」
「美咲」
「はい!」
「俺の事好きか?」
「とびお?すき~!!」
「ほ、本当か!?」
「うん。だからね~おおきくなったらとびおとけっこんする~」
「はぁ!?」
結婚!?
「王様はやめたほうがいいんじゃない?」
「そうだよ!影山はやめとけ」
「とびおとけっこんするの!」
月島や日向が止めたが美咲はきっぱりと宣言した。
きっと元に戻ったら言ったことすら忘れてるだろーが…
「日向、月島…他を探した方がいいんしゃねーか?」
美咲は俺の美咲だ。
たとえ小さくても。