第2章 再会
テーブルの上には私とフウのクッキーとは別にラッピングしたもう一つのクッキーがあった。
カゴに入れ忘れた訳ではない、これはいつ来るかわからないトランクスの分だった。
私はそのクッキーを見つめ深く溜息を付いて椅子へ座った。
「なにしてんだろう私。昨日から彼の事が頭から離れないや。」
昨日初めて会ったばかりの人をここまで考えてしまう事は初めてだ。
もちろん故郷の友人を思い出す事はあるが、思い出したとしてもこんなに胸がキュッと締め付ける様な感覚はなかった。
「うぅ…。何かの病気になっちゃったのかな。」
目の前のクッキーを食べようとしたがその手を止めた。
食欲がないのだ。
胸が締め付ける感覚で喉が食べ物を通す事を拒んでいるかのようだ。
ただ不思議と悪い感じはしないのだが苦しいのだ。
私にはどの病気の症状だか全く分からなかった。
私がテーブルに突っ伏していると外で物音がした。
”ズサッ…”
草むらを勢い良く踏み込んだような音だ。
フウが帰ってきた?
いや、まだフウが家を出てから5分も経っただろうか。
”ザッ…ザッ…”
足音がこちらに近付いているようだった。
私は頭をさっと上げると恐る恐る窓の外を覗いた。
私の目に映ったのは昨日見た薄紫の髪の青年…。
「あ…あわわ。ト…ト…トランクスさんっ!?」
私は彼がドアの前に来るより先にドアを開けた。
「あ、輝夜ちゃん!こんにちは。」
トランクスは和かに挨拶してきた。
「わわ…ここここんにちは!」
動揺しながら勢い良くぺこっとお辞儀をした。
そんな様子を見たトランクスは、
「ご…ごめんね、今日は都合悪かったかな?」
そう下を向き頭を掻く。
「いえ!ぜんっぜんです!おおおお待ちしておりました!」
緊張でよく分からない言葉を言ってしまった。
心臓が昨日と同じように高鳴り頬が熱くなるのを感じる。
「そ、そう?それなら良かった。昨日助けてもらったし、お礼は早い方が良いかなと思って早速来ちゃったから迷惑かなと思って。」
ははっと笑いながら彼はそう言った。
私は頭がパニックになりながらも
「そ…それはそれはご丁寧に!その…ここじゃ何なので…ど…どうぞ!」
と家に招いた。