第1章 出会い
トントン…
ドアを叩く音がした。
私とフウはギョッと顔を見合わせた。
なぜなら動物達が来たのなら鳴き声で訪問を知らせる為、ドアをノックするという行為はしない。
トントントン…
続けてノックの音がした。
「フ…フウ、どうしよう。」
静かに問いかけるが、フウもどうしていいか分からないみたいだ。
それもそのはずで、この家に動物以外の訪問者が来た事はないのだ。
私は息を飲み、恐る恐るドアへ近づく。
意を決してドアノブへと手をかけ、ゆっくりとドアを開けた。
「は…はい。」
ドアの先には、剣を背中に背負おった薄紫の髪色が印象的な青年が立っていた。
「夜分遅くにすみません、森へ入ったら道に迷ってしまって…。」
彼は頭を掻きながら困ったような笑顔でそう答えた。
どうやら怪しい人じゃなさそうだ。
「そ…そうなんですね。と…とと…とりあえず外は冷えますし中へ入ってください。」
初めての人間の訪問に私は動揺を隠しきれなかった。
「すみません、助かります。ではお言葉に甘えて…お邪魔します。」
彼は恐縮した面持ちで家へと入った。
私は彼にハーブティーを出し、話を聞いた。