第5章 告白
「ああ、あれは舞空術だよ。」
トランクスは当たり前の事のように言った。
「舞空…術?トランクスさんは術を使えるんですか!?」
私は驚きを隠しきれず目を丸くした。
「術と言えば術なんだけど…まぁ練習すれば誰でも出来るさ。」
トランクスは軽々と言う。
私は思わず、
「トランクスさんは…魔法…使いなんですか?」
と恐る恐る聞いてしまった。
するとトランクスは大きく笑った。
「あはははっ!」
純粋に聞いたつもりが意外な反応が返ってきてしまい私はぽかんとしつつ、
「な、何かおかしい事言いましたか?」
と聞く。
すると手で笑いを堪えているトランクスに、
「いや、輝夜ちゃんは面白い事言うんだね。」
と言われてしまった。
続けてトランクスは、
「でも魔法使いではないんだよ。俺の家系がちょっと特殊で遺伝的な所もあるかも知れないけどね。」
と和かに言う。
私はそんなトランクスの話を聞いたがいまいち理解が出来ない。
術…家系…出会った日から思ってはいたがトランクスは一体何者なのだろうか。
だが自分が何者かを戸惑う事なく隠さずに答えるトランクスに私は嬉しくもあった。
私も自分の事を打ち明けてもいいのだろうか。
打ち明けて、果たしてトランクスは受け入れてくれるであろうか。
そんな事を考えていると、思い出したかのようにトランクスが言った。
「そういえば、ドラゴンレーダーが直ったからまた探しに来ていたんだ。そしたらこの場所を示していた。それで入ってみたらドラゴンボールじゃなくて崖から落ちかけている輝夜ちゃんを見つけたから本当に驚いたよ。」
そう言われて私もハッと思い出した。
「そうだ!トランクスさん、ありました!その…”ドラゴンボール”!多分私がさっき見たのがそうだと思います。」
そう言って立ち上がり、先程の崖を覗き込んだ。
相変わらずゆっくりとした点滅を繰り返すドラゴンボールはあった。
トランクスも一緒に覗き込む。
「そう、それだ!やっと見つけたぞ。」
トランクスは嬉しそうだ。
するとトランクスは先程のようにふわっと浮きドラゴンボールが挟まっていた岩肌を最も簡単に叩き割るとそっと取り出し戻ってきた。
「やっと最後のひとつを見つけた…。」
ドラゴンボールを見つめながらトランクスは嬉しそうにそう言った。