第4章 探し物
それと暗くなった時の事を考慮してランプを持っていくことにした。
これで夜でも歩き回れる。
「よし。トランクスさんの…”トランクスとのため”だ。」
私は意を決して昼寝中のフウを起こさないよう静かに扉を開け、外の空気を感じつつほうきに跨った。
ドラゴンボールの場所については全く見当が付かないためとりあえず適当な方向へ飛んだ。
家を出てから数時間が経過していた。
私は小動物から大きな動物、空を飛ぶ鳥達にもドラゴンボールのことを訪ねたが皆首を左右に振るだけだった。
空はだんだんと日が沈み始めている。
「参ったな…。こんなに情報が得られないとは思ってなかった。」
長い時間探し続けていた為か私は少々疲労を感じ地面に降りてそこらにある大きな石へ腰掛けた。
「本当にあるのかな…願いを叶える玉なんて。」
ドラゴンボールの場所について何かしらのヒントが得られると甘い考えが今になって後悔に変わった。
諦めようかという考えも一瞬頭を過ぎったがやはりトランクスの事を考えるとそうもいかない。
「でも恋の病って…その人の事を考えるとその人の為に頑張れるんだね。凄い病気、なんか悪くないかも。」
疲れの中にも言葉に出来ない何か暖かな気持ちが私を勇気付け、気力を与えてくれる。
そんな事をぼんやり考えていた。
しかし目の前を照らすランプが私の頭を覚まさせた。
「…洞窟?」
私は立ち上がり足元をランプで照らしながらその方向へ進むと、確かに洞窟があった。
入り口は人1人通れる程度の広さだ。
「こんなとこに洞窟があったんだ。動物さん達にも聞いた事ない場所だ…。」
私は恐る恐る頭を入れ中を覗いてみた。
幅は狭いが奥行きは多少ありそうだ。
その頃にはすっかり日が沈み、辺りはランプが無ければ闇だ。
私の気持ちに辺りの暗さや洞窟という先入観から恐怖心が芽生える。
しかし、もしかしたらという気持ちを捨てきれず意を決して入る事にした。
「ちょっとだけ…深そうなら戻れば大丈夫。狭いし荷物は置いておこう。」
私は家から持ってきた多少の食料とほうきを入り口前に置き、ランプを片手に洞窟を進み始めた。